TOMYAM JOURNAL

世界の片隅でしたためる個人備忘録

2019年2月に観た映画

 

『ボルグ/マッケンロー』

1970年代男子テニスのレジェンド、ビョン・ボルグとジョン・マッケンローの名勝負、1980ウィンブルドン勝戦を焦点にした伝記映画。世間は氷の皇帝ボルグと、炎の男マッケンローを対比させているがどちらも本人たちにしかわからないプレッシャーを抱えている。テニス、特にシングルスはコート上に起こること全てを独りで対処しなければならない孤独なスポーツだ。そんな修羅の道を歩む二人だからこそ互いに認め合うこともできるのだな。それにしても当時のマッケンローを始め選手が試合前日でも街に出て飲み歩くというシーンがあるが時代を感じる。

 

大忠臣蔵』第1

忠臣蔵を見たことがなかったのでとりあえず三船敏郎主演の本作を借りた。力作というか、総力戦というか濃い世界観。テレビ朝日大河ドラマと言わんばかりに全52話。流石にそんなに見れない。作り込みすぎでしょ。だいたいどの忠臣蔵も2時間ぐらいなんだからそんな引き延ばされたって見ていて疲れる。それでも衣装は綺麗だった。

 

オーシャンズ8』

こういうキラキラしたオーラ全開映画って嫌いじゃない。むしろ好き。「この計画は私のためでも、あなたたちのためでもなく、世界のどこかで泥棒になることを夢見ている8歳の女の子のためにやってやりましょう。」というセリフがあったが映画ってそういう楽しさを気づかせてもらうものだよね。男女混合でのチームじゃなくて全員女性だけの盗賊チームっていう吹っ切れたあたりが良い。スカッとして気持ちの良い映画だった。

 

アントマン アンド ワスプ」

アベンジャーズ4に備えるために鑑賞。ミシェル・ファイファー綺麗。

 

 

『ファントムスレッド』

ドレス作りに取り憑かれている服飾職人をダニエル・デイ=ルイスが演じている。これデイ=ルイスありきでキャラクター作ったんじゃないかと思うくらいハマっている。ただマザコン男が若い女に毒を盛られては看病され「どう、もう私から逃れられないでしょ?」っていう関係に溺れるっていう変な話。

そんな変態的な話もポール・トーマス・アンダーソンらしい重厚な作りのせいで大作っぽく見えてしまうから不思議。忠臣蔵とかやってくれないかな。

 

 

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映画『パターソン』を観て思ったこと。オフビートな人生というスタイル。

 ジム・ジャームッシュ監督の「パターソン」という映画があります。

 パターソンという街に暮らすパターソンという名の青年の一週間を描いた物語です。いや、物語というようなものでは無いかもしれません。彼は市バスの運転手の仕事とし、奥さんと一匹の犬とともに素朴な日々を送っている。そんな彼の楽しみは仕事の休憩時間を使って詩を綴ること。日々の生活の中で目にする些細な出来事についての詩や愛する妻への詩を書き溜めていきます。つまり平凡な人間の平凡な一週間の記録といっても良いかもしれません。

 では、この映画のどこに惹かれるのか。それはそんな平凡な人間の平凡な生活そのもの。パターソンくんの日々の営みに惹かれるんです。

 

 この作品のキーは詩です。パターソンくんは詩人ですが職業としての詩人ではありません。彼は詩を世に出してはいませんので、誰からも詩人としての評価を受けてはいません。唯一彼の詩を読んでいるのは彼の奥さんだけです。奥さんは彼に詩集を出版してみてはと勧めますがパターソンくんはあんまり乗り気ではありません。果たして彼にとって詩を書くこととはどのような意味を持っているのでしょうか。

 

 パターソンくんが詩集を出版することに乗り気ではないのは、彼は別に有名になるために詩を書いているわけではないからです。彼はただ自分のため、そして奥さんのためだけに毎日詩を書いているんです。

 ここがこの作品の核心だと思います。ジャームッシュ監督はパターソンくんの生活を通して、有名でなければ詩や音楽を始め芸術は意味がないのかとメッセージを送っているように取れます。芸術は有名になるためや金を稼ぐための手段じゃないといっているよ風にも解釈できます。

 

 話が少しややこしくなってきましたが、身の回りのすべてを鑑賞の対象としその素晴らしさを見出す詩や芸術はお金とか名声が得られなくても尊いものです。

 華やかで刺激的な世界観ではないですが、この作品で丁寧に映し出されるパターソンくんの一週間をみていて私はこの平凡さに憧れを感じずにはいられません。

 ジャームッシュ監督の作品はどれもヒーローではない人々の些細な人生を描いています。彼の映画は静かで一見退屈ですが私は彼の映画が好きです。それは軽やかに生きて人生を満喫したいという私の考え方にリンクするものがあるからでしょう。

 

 

パターソン(字幕版)
 

 

にんじんの煮物

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所要時間:20分

 

畑で採れたてのにんじんをたくさんもらったので、シンプルに煮物にしました。寒い冬にはこのオレンジ色が食欲を誘います。今回の味付けは昆布の粉末だしを使い、濃くなりすぎないように気をつけました。土鍋を使って煮るとうまく煮れるような気がします。何より見栄えが良い。

この煮物をメインにあとはご飯と味噌汁だけの食事でも十分な満足感があります。

 

材料:にんじん、醤油、みりん、粉末だし、干し椎茸

作り方:

  1. にんじんを一口大に切る
  2. カップに粉末だしをお湯に溶かす。ほのかにだしの味がするぐらいの薄さにする
  3. 2に醤油、みりんを加える。これらもまず醤油をほのかに風味がつく程度加え、そのあと加えた醤油の量よりも少し少なめの量のみりんを加える
  4. 鍋ににんじん、3、干し椎茸を入れて火にかける
  5. 沸騰したら弱火でにんじんが柔らかくなるまで煮詰める(約20分)

 

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ゴッドファーザーのトマトソースパスタ

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ゴッドファーザーはじめ、イタリアのマフィアの映画で、食卓に出てきそうなトマトソース。意外と作り方は簡単。実際に映画「ゴッドファーザー」でクレメンザという男が作り方をレクチャーしているシーンがあります。

材料

  • トマト缶
  • トマトペースト
  • 赤ワイン
  • にんにく
  • ソーセージ(ハーブ入り)
  • 砂糖

作り方

  1. フライパンにソーセージが浸るくらい水を加え、煮詰める。水分が蒸発したらそのまま火にかけ、焼き目をつけ、取り出す。
  2. 鍋にトマト缶と水を入れ、沸騰させる。沸騰したら、にんにくのみじん切り、トマトペースト、赤ワイン、塩、砂糖を適量加える。
  3. 一口大に切ったソーセージを加え、煮詰める。
  4. 最後に塩、砂糖で好みの味に整える

本来なら、ミートボールと行きたいところだけど、ハーブ入りのソーセージを使うと楽。そのだいできるだけ太いものを用意しよう。食べ応えが増す。また、コツは砂糖を入れてコクを出すところ。これで味が厚くなる。好みでコンソメの素などを入れても良い。

 

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すいません、ほぼ日の経営

 

すいません、ほぼ日の経営。

聞き手 川島蓉子 語り手 糸井重里

 

糸井重里さんが経営する会社ほぼ日の経営についてのインタビュー。

 

まず本書の第一印象は、経営についてのビジネス書としてはなんかふんわりとしていて抽象的でキレがないなあというものだった。

 

世間で流行っている読者にわかりやすく重要な部分やパワーワードはここをメモっとけとばかりに太文字になっているビジネス書と違い、インタビューで糸井さんの受け答えはどうも歯切れが悪く、全くビジネスをしている人の言葉ではない様に聞こえる。正直、糸井重里という人をもののけ姫の宣伝コピーを考えた人で結構多くの人から好かれているらしいということ以外全く知らない僕には尚更そう感じた。

 

しかし、丁寧に読んでいくうちに(正直、2周読んだ)このわかりやすい格言のオンパレードとはかけ離れた漠然とした本は、ほぼ日という企業を経営する糸井重里の本として、そうなるべくしてなったのだとわかる。それがほぼ日のコアの部分なのだと理解する様になるのだ。

 

本書はインタビュアーの川島蓉子氏が聞き手となりほぼ日の事業、人、組織、上場、社長についてそれぞれ章立て構成されている。とりわけ印象に残ったのはほぼ日の人と組織の章だ。

 

まず、ほぼ日で働く人についていきなり面白い話が出てくる。ほぼ日では採用の基準を「いい人」とだけしている。求人の出し方も「いい人募集」という記事をウェブサイトの記事として乗せるだけらしい。では「いい人」とはどんな人なのか。それ以上の詳細な表現はしないという。少なくとも学歴や職歴、SPIなどの既存の採用基準を用いることはない様だ。糸井氏曰く、「いい人」とは定義できないそうだ。例えばいい人を「明るくハキハキした人」と謳ってしまうと応募した人はその定義に合わせた行動をとってしまうのだという。何かを表現するとき、最も大事な芯になることは、ぼわっとしているものだそうだ。だから、面接を重ね、時には合宿にも参加してもらい「このひとはなんかいい人だな。」というのを感じることを大切にしているのだという。

 

どうやら糸井氏は言葉を明確にしてしまうことで行動がその言葉に縛られてしまうことを面白く思っていないらしい。

 

わかりやすい言葉で説明するということは、とりあえず正解を作ってしまうことだ。正解を知るということは安心感を与えてくれるが、一方、その答えがもしかしたら変わるかもしれない、または別の正解があるかもしれないと考える余地を奪ってしまう。

 

最初に述べた様に、本書が抽象的で歯切れが悪いと感じたことはあながち間違ってはいなかった。それまでのビジネス書が著者たちの「これはこういうことだ」といわかりやすい言葉を定義しているのに対し、糸井氏はぼんやりとしたままで芯の部分をこれという言葉で記さず、考え行動し続ける余地を与えているのだから。

 

糸井氏がそうしたスタンスを取り続けるのには、ほぼ日の組織や事業の根幹に理由がある。それは人の「気持ち」だ。

ほぼ日は商品やコンテンツを作るのも出すのも、人を採用するのも「気持ち」を基準にしている。職場の雰囲気もそこから生み出されるアイディアも、オッなんかいいね。と感じるものを大切にしている。それがほぼ日のクリエイションなのだ。それは他の会社がなかなかできないことだ。なぜなら世の中は、言葉で定義できること、理屈や根拠を説明できることを良しとしているからだ。企画書を通すのも、就職の面接で自分をアピールするのも相手への説明、説得が必要になる。そのために売上予測の数字を並べたり、相手が理解できる言葉を用意しなければならない。しかし、そうして出てきたものは安易な正解でしかないのかもしれない。「わからない」を悪く捉える世の中では、明快で相手を説得させる「正解」を用意することが歓迎される。一般的な企業がほぼ日の様に「気持ち」を扱わないのは、それは数字や言葉で簡単に定義できないからだ。

 

ほぼ日の看板商品の「ほぼ日手帳」は作る人も使う人も「なんかいいね」となる気持ちを掘り下げて作られたものだ。この手帳はとりわけ特別な仕様になっているわけではなく、他の企業が真似しようと思えばもっと安く作れてしまう。しかし、それでは商品に「気持ち」が入っていないから受け入れられないだろうと糸井氏は言う。

ほぼ日がユニークなのは正解がどこにあるかわからないからこそ、「気持ち」が良いと感じる方向性だけを定め、上手く行く源泉に当たるまでコツコツと手仕事で掘り下げていくからなのだ。

 

それではそういう事業をやっていく組織はどうなっているのだろうか。

ほぼ日は社員にとってどんな場を提供しているのか。これにも糸井氏はこう語っている。

「商品やコンテンツは誰が作ったじゃなくて「どんな場が」作ったかと言うこと。アイデアは一人から出るものじゃない。人が混ざり合って面白い空気になっている「場」から生まれる。」

面白いものは停滞した空気からは生まれない。誰かが思いついたアイデアを隣にいる社員に投げかけて、そこで反応の良し悪しを確かめ、話が膨らみ醸成される。そうなるには職場が遊び場の様な楽しい雰囲気になることが大切になってくるのだと言う。

 

これら以外にも、なぜこの様な素朴な組織が上場をするのか、それは外から見られることで会社として鍛えるためだ。とか糸井氏なりの社長のやり方など参考になる話が出てくる。

 

この本を読んでもほぼ日が実践していることを他の組織にに応用することは難しいだろう。そもそも体系だったハウツー本ではない。しかし、ほぼ日という会社は「気持ち」を芯に置いて「良いこと」を事業として社会に貢献していこうとうしている日本社会ではユニークで楽しそうな会社であることは間違いない。その経営の仕方から参考にできることは多いと思う。ほぼ日の様な会社が増えたら面白いだろう。そして、ほぼ日の「気持ち」を大事にする事業がどう熟成していくのかが楽しみだ。

 

 

すいません、ほぼ日の経営。

すいません、ほぼ日の経営。

 

 

 

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[映画]はじまりへの旅

監督 マット・ロス

社会から離れ、森の中で暮らす一家。資本主義や宗教、社会のシステムを一切信用せず、自身の能力を鍛えることでサバイブしていくことこそ人間の本質と信じるヒッピーの父親ベンを演じるのはヴィゴ・モーテンセン。彼は妻と共に子供達をその思想を元に青立てていたが、ある日妻は精神病を患い自殺してしまう。

妻の両親から、娘をキリスト教の習いで土葬すると伝えられたベンは、仏教を信仰する妻の遺言通り火葬するために、子供たちとともに妻を奪い返しに行く。

 

物語の最初の方は父親と子供達が森の中で狩をしたり、自給自足をしたり戦闘の訓練をしたりする生活のシーンがある。この辺りは、なんだヒッピー的なライフスタイル賞賛映画なのかと思い気だるい感じだった。しかし、その後ヒッピー親父のベンは自身の価値観が甘いものだったと痛感させられる。この作品はヒッピー礼賛ではなかった。そう思っていた世代の人間が歳をとり、親となり子供達の将来を考えた時、社会との折り合いをどうつけるかを突きつけられる話だった。

 

本作の中で好きなシーンは、妻の葬儀中に教会乗り込む場面だ。ビルは赤いケバケバしいスーツを着込み、子供達もカラフルな服で参列する。周りは皆喪服だ。どの宗教でも人が亡くなった時は黒く落ち着いた服を着て死者を偲ぶ。

確かに、どうして死んだらみんな一様に黒い服を着て落ち着くのだろうか。もちろんそれは死者に対する礼儀を表すためだろう。確かにそれは正しいが、それ以外の選択肢もあってもいいのだ。ビルの妻は仏教に傾倒しており、おそらく無常という概念が好きだったのだろう。死んだら火葬して位牌はトイレに流してと遺言にしている。なんともカラッとした死生観だ。そんな彼女の死は陰鬱なムードで弔うより、あの世への旅立ちとして賑やかに送り出すほうが合っている。このキリスト教に法って土葬するというのは残された両親の、つまり社会の意向なのだ。そうすべきだという慣習の結果であり、それこそビルが忌避するものなのだろう。

ここで私は自分が死んだ時のことを想像したが、やっぱり悲しまないでどんちゃん騒ぎで笑いながら送り出してほしいなと思うのだ。

 

 

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柿のコンポート・オン・ココナッツサブレ

 

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  1. 小さく切った柿をレモン汁、水、砂糖で柔らかくなるまで煮詰める
  2. ココナッツサブレホイップクリームと一緒にサンドする

 

柿のコンポート・オン・ココナッツサブレを作るに至った経緯

先日、ピエールエルメで修行したフランス人パティシエが経営するお店でスイーツを食べる機会がありました。ありきたりな言葉にはなってしまいますがそれはもう宝石箱のようなお店で、ショーケースに並んだスイーツはプレゼンテーションからして他の洋菓子屋さんと一線を画していました。値段もそれなりにしたのですが味はもちろんのこと、スイーツ一つ一つの造形に魅せられてしまうという貴重な体験をしました。(つい、食べる前にいろんな角度から眺めたり生地を分解したりしてしまいました。こんなことできるのはスイーツならではですね。)当方、料理こそ好きですがお菓子作りなんて手の込んだことは避けてきた身です。しかし、先述のように分解していたところ、スイーツの”組み立て”はなかなか面白そうだったので一つパティシエの真似事でもしてみようと思い立ったわけです。

今回は柿のコンポート以外はあり物を使ってスイーツの創作をしてみました。いわゆるモックアップですね。

 

感想

あり物を使うということで、スーパーで一番安く、かつ生地になりそうなココナッツサブレをしましたがなかなか使い勝手がよかったです。写真のようにサンドしてしまうと食べづらいが、一枚にホイップクリームとコンポートを載せる程度が食べやすいです。また、ホイップクリームを塗ったり、フルーツを綺麗に載せるが以外と大変で、見た目をアトラクティブにするセンスは一朝一夕じゃ身につかないということがわかりました。

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