[書籍]なぜイタリアの村は美しく元気なのかー市民のスロー思考に答えた農村の選択
宗田好史 著
イタリアの田舎といえば広い農地にポツンポツンと建つ農家、緩やかな丘陵地値にあるワイン畑、有機野菜、美味しい料理、静かで穏やかな生活。そんなイメージがあります。
これらはアグリツーリズモと呼ばれる戦後、景観計画とEUによる農業政策による成果なのだそうです。
アグリツーリズモとはアグリ(農業)とツーリズモ(観光)を掛け合わせた取り組みで、旅行者に風景だけではなく農村の美しいく、美酒美食も目的の一つにしてもらうという取り組みです。
つまりイタリアの田舎の風景は訪れる人がロマンを感じられる様に作り込む様政策で決められているんですね。
アグリツーリズモの主な客はイタリアの都市に住むサラリーマンや中流階級の人たちで週末やバカンスで地方の農村に訪れるそうです。農家に宿泊施設があり、食事付きの宿泊サービスをしいます。旅行者は農家に泊まりその土地で取れる有機野菜などを使った料理を堪能するといった田舎ならではのスローな時間を愉しむ様です。
アグリツーリズモのビジネスにはスロー志向への需要が根底にあります。ちなみにスローフードという言葉を最初に使ったのはイタリア人がファーストフードのマクドナルドに対する抗議からだそうです。戦後、経済の急成長による生活習慣や環境の変化にイタリア人は人一倍危機感を持っていたのでしょう。どの国でも地域でも経済発展は受け入れられ、その代償として古きものを壊し、新しく便利なものに作り変えられてしまいますがイタリアでは地方の農村、それこそ喉から手が出るほど都会の様に経済発展をさせたいと望んでいる人が多いであろう土地で、スロー志向のための景観計画や農業政策受け入れたことが特筆すべき点だと思います。
これがアグリツーリズモのビジネス面での成果を出します。忙しく働く都市の人たちの休日の滞在先として、都市の日常では見られない田舎の美しい風景とうまい飯と酒というのはお金を払ってでも体験したいブランドになったということです。都市や経済発展に対するうまいカウンターになってるんでね。
ふとここで自分の街について考えて見ました。僕の住む街は田舎ですが新幹線の駅があって、国道一号線には立派なショッピングモールがあります。果たして東京に住んでる人がわざわざ田舎のモールで買い物してスタバでフラペチーノを買うことになんの価値があるだろうか。
なぜイタリアの村は美しく元気なのか: 市民のスロー志向に応えた農村の選択
- 作者: 宗田好史
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2012/08/15
- メディア: 単行本
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